後立山南部(長野) 爺ヶ岳中峰(2669.9m)、南峰(2660m)、北峰(2631m) 2023年5月5日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:10 柏原新道登山口−−2:10 ケルン−−2:14 登山道を離れる(標高1800m付近) 2:17−−2:23 爺ヶ岳南尾根(標高1830m付近) 2:26−−4:51 爺ヶ岳南峰−−5:09 登山道を離れる−−5:15 爺ヶ岳北峰−−5:17 2620m峰−−5:20 登山道−−5:40 爺ヶ岳中峰 5:54−−6:06 爺ヶ岳南峰 6:35−−7:55 南尾根を離れる(標高1800m付近)−−7:57 登山道−−8:31 柏原新道登山口

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2023年5月5日 日帰り
天候
山行種類残雪期の一般登山
交通手段マイカー
駐車場登山口前に駐車場あり
登山道の有無冬道(爺ヶ岳南尾根)は一部踏跡程度あり
籔の有無冬道(爺ヶ岳南尾根)は灌木や笹がはみ出た場所もある
危険個所の有無無し
冬装備軽ピッケル:出番なし  10本爪アイゼン:2320m峰直下の距離にして約100m以外は出番無し。雪が緩む日中ならツボ足可だろう
山頂の展望南峰、中峰、北峰とも邪魔するものがなく晴れれば大展望
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コメント針ノ木岳から中1日で爺ヶ岳に登る。残雪は昨年より少なくケルンのトラバース区間に残雪皆無で、その先で雪が連続し出す場所から南尾根に上がった。相変わらず南尾根には明瞭な踏跡あり。今回のルートでアイゼンが必要な距離は僅か100mほどしかなかった。思ったよりも空気の透明度は良くて日光白根や燧ヶ岳を見ることができた


2320m峰付近から見た爺ヶ岳南峰と中峰。山頂まで雪が続いているが登山ルートは雪が無い場所のためこの先はアイゼン不要


柏原新道登山口前の駐車場。出発時は3台だった 登山指導所
ほぼ満月で明るかった 八ッ見ベンチが南尾根入口だが今回は夏道を先へ
扇沢駅 ケルン。この標識だけは年中設置されている
ケルンのガレトラバースを終えると広範囲に残雪登場 アイゼン装着
夏道ではなく南尾根目指し上に向かうトレースあり 南尾根に乗る。明瞭な踏跡あり
大町市街地の夜景。まだ真っ暗な時間帯 標高2270m付近。立木が少なく固く締まっているのでアイゼン装着
一時的に藪に突入 2320m峰で傾斜が緩む。この先にテントあり
雪のある平坦な尾根から樹林帯に入るところでアイゼンを脱ぐ 標高2350m付近から本格的な森林限界に
標高2460m付近 午前4時半。まだ下界は町明かりが輝いている
標高2600m付近 爺ヶ岳南峰山頂。ちょうど日の出のタイミングだった
南峰にはテントあり まずは北峰に向かう
南峰〜中峰鞍部から中峰を見上げる 中峰をトラバース
奥のピークが北峰 ここで縦走路から稜線の残雪に乗る
北峰への登り 隠れクレバスにはまった
爺ヶ岳北峰山頂
爺ヶ岳北峰から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
ついでに北峰北側の2620m峰に登る 2620m峰てっぺん
2620m峰から見た爺ヶ岳山頂群 2620m峰から見た鹿島槍ヶ岳
2620m峰から見た冷池山荘テント場。1張確認 北峰北側鞍部から北峰を見上げる
登山道に戻って中峰に向かう 水溜りはカチカチに凍っていた
この時期は冷池山荘周囲がテント場として利用されるようだ
中峰を見上げる 中峰分岐
爺ヶ岳中峰(爺ヶ岳山頂) 爺ヶ岳中峰から見た奥日光の山々
爺ヶ岳中峰から見た尾瀬の山々 爺ヶ岳中峰から見た平ヶ岳
爺ヶ岳中峰から見た巻機山 爺ヶ岳中峰から見た種池山荘
爺ヶ岳中峰から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
爺ヶ岳中峰から見た常念山脈、槍穂
爺ヶ岳中峰から見た頚城山脈と北信の山々
爺ヶ岳中峰から見た奥秩父、八ヶ岳(クリックで拡大)
爺ヶ岳中峰から見た南アルプス(クリックで拡大)
南峰に向かう 爺ヶ岳南峰山頂。幕営バーティーは撤収中
爺ヶ岳南峰から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
爺ヶ岳南峰から見た立山、剱岳、北方稜線
爺ヶ岳南峰から見た硫黄岳 爺ヶ岳南峰から見たウドノ頭〜僧ヶ岳
爺ヶ岳南峰から見た鹿島槍南峰。テントが見える 爺ヶ岳南峰から見た針ノ木岳
爺ヶ岳南峰から見た扇沢。まだ満車ではない 爺ヶ岳南峰から見た種池山荘に至る稜線
南尾根を下る 標高2480m付近
種池山荘の埋もれ具合 柏原新道の夏道で唯一見える場所。ガレ谷の西側
標高2460m付近 標高2450m付近
標高2340mで森林限界ぎりぎりの樹林帯へ 尾根東側の雪原へ出る
朝見た幕営の跡。主は下山したようだ 明瞭なトレース
2320m峰の下りでアイゼン装着 標高2310m付近。これは真南へ下る間違った尾根
標高2300m付近で尾根が分岐。トレースのある右へ 右の尾根の入口
標高2280m付近。本日2番目のすれ違い 標高2250m付近
標高2160m付近の標識。文字が消えて読めない 標識のある場所で左折が正解。これは直進の間違いルート
登り返すのが面倒なのでアイゼン装着でトラバース 標高2130m付近で正しい尾根に復帰
2320m峰付近で幕営していた3人パーティー 標高1950m付近の穴
標高1930m付近の標識。進路を左へ 昨年は見られなかったテープあり
ショウジョウバカマ。南尾根に多数みられた 標高1840m付近
標高1830m付近で南尾根を離れて西へ下る 夏道まで残雪が続く
夏道到着 下ってきた残雪帯
夏道の登り方向を見ている ヤマクボ沢を登る登山者
ケルン周囲のトラバースには雪無し(昨年はあった) 樹林帯では残雪があるが長くはない
ショウジョウバカマはあちこちで見られた 八ッ見ベンチ
八ッ見ベンチが南尾根入口 タムシバ。花はほぼおしまい
イワナシ イワカガミの蕾。開花している株は皆無だった
たぶんタチツボスミレ 登山指導所は撤収中。臨時開設だった様だ
登山口前駐車場。空きがあるとは思わなかった


 大型連休の後半戦は最初に針ノ木岳、蓮華岳の日帰りをやったが、その後の2日間も好天予報。さすがに翌日に山は厳しいので休養日として2日後に再び山へ。今度は北アの中でも楽な部類の爺ヶ岳へ。この時期の柏原新道は雪に埋もれて急斜面のトラバースの連続なので、通常は爺ヶ岳南尾根経由で登ることになる。このコースは昨年の残雪期に歩いているので様子は良く分かっている。おそらくアイゼンが必要なのは2320m峰直下の短距離だけであろう。針ノ木岳と比較すれば大幅に雪は少ないはずだ。

 前日の夜の早い時刻に登山口に到着。2日前は登山口前の駐車場と川向こうの駐車場が満杯どころではなく、スノーシェッドを一つ下った駐車スペースも満車でもう一つスノーシェッドを下った駐車余地まで車が止まっていたくらいだが、今日は登山口前の駐車場にある車は1台のみで川向こうの駐車場には数台程度。この時間にある車は車中泊か山の上で幕営なので少ないのは分かるが予想以上に少なかった。ちなみに下山後もかなり少ないままで、この日に入った登山者は通常の週末と比較しても少ないようであった。

 予報では日中の気温がかなり上がって+30℃に達する可能性もあるとのことで、気温が低い時間帯に下るべく出発は早めとして午前1時過ぎ。山頂到着予定は日の出の時刻である午前5時。今回は北峰まで足を延ばす予定なので、中峰で写真撮影する時刻には十分明るくなっているだろう。

 まだ真っ暗な中を出発。気温は思ったよりも高めで上着は半袖シャツの上にウィンドブレーカのみ。それも登り始めてすぐに半袖に変わり、それでも暑いくらいで扇で扇ぎながら登ることになった。これなら濡れタオルを持って来るのだったと後悔するほど。おそらく朝の気温は+10℃くらいだっただろう。

 南尾根は八ッ見ベンチが起点となるがここでは全く雪が無いし、南尾根下部は笹が茂っているので夏道でもっと高度を上げてから南尾根に上がった方が得策と判断して夏道を進む。樹林帯では所々で残雪が現れるが長続きせずアイゼンは不要だった。雪の上には少ないながら足跡も見られた。昨年の5月中旬ではケルンのある開けた斜面のトラバース箇所で残雪が現れてアイゼンを装着したが、今回はここには雪は全く無く簡単にトラバースできた。

 トラバースを終えて小尾根を回り込んで樹林帯に入ると広範囲で残雪が見られる様になり、夏道は雪に埋もれて雪の斜面のトラバースが続くようになるため、ここで南尾根に上がることにする。上に延びる雪の上には足跡があり、私と同じ判断をした人がいるようだ。おそらく昨日の足跡だろう。

 残雪は南尾根までつながっていたので藪に突入することなく南尾根に到着。まだ真っ暗であるがLEDライトの狭い範囲の光でも踏跡が明瞭に分かる程度の道ができている。これは昨年の経験で分かっていること。帰りのために南尾根に合流した地点の根曲がり竹を少し刈っておいた。

 南尾根に上がって以降は踏跡を辿っていくが、明瞭なのでライトの光でも外すことはない。予想通り尾根直上はほとんど雪は残っておらず、残っていても短距離だし樹林帯で掴まる木があちこちにあるので滑りやすい締まった雪の上でもアイゼン無しで問題なく歩けた。昨年はほとんど見られなかったテープの目印が今年は見られたが、わざわざ目印を付けるほど分かりにくいルートではない。

 標高2250m付近で広範囲に雪が現れ、これまでと違って藪っぽい植生ではなく樹林が開けて立木が少なく掴まれる物体が無いので、ここでアイゼンを装着する。一時的に雪が切れて藪の中を登るが再び樹林が開けた傾斜のある雪面を登るためアイゼンは装着したまま。雪面には多数のトレースがあり雪が緩んだ時間帯に歩いたらしいノーアイゼンの足跡もあったが、今は雪が固く締まってアイゼンの歯しか潜らず足跡は残らない状態なので、アイゼンは必須であった。

 そして2320m峰の南の肩を越えると傾斜が緩んで雪が付いたほぼ水平な尾根が続くようになる。昨年はここにテントがあったので今年もあるだろうと予想したが、予想より少なく1張のみであった。まだ暗い時刻でテント内部に動きは無かったので静かに通過した。尾根の水平区間は長く、西側は比較的背の高いシラビソが立ち並んで西風がブロックされるので幕営適地であり、この一帯は幕営地の選択の幅は広い。

 尾根東側の水平な雪の帯が切れて踏跡がハイマツと矮小な樹林帯に入ったところでアイゼンを脱ぐ。昨年の経験からしてこの先はもう雪は無いはずだ。水平で短い樹林帯を抜けると本格的な森林限界に入ってアルプスらしい砂礫のジグザグ道を上がっていく。この途中で右手のハイマツの中から雄の雷鳥の鳴き声が盛んに聞こえていたが、接近したらハイマツの中から飛び出して雪渓を下へと飛び去った。残念ながらあっという間の出来事で写真撮影はできなかった。冬道はこの雪渓の西側を通っていて夏道並みの濃さなので雪の上を歩くことはなかった。

 登り切ったピークが爺ヶ岳南峰。ちょうど日の出のタイミングで想定通り。山頂南側にはまだ雪が残っていてテントが一つ設営されていたが、まだ寝ているようで動きは無かった。2日前よりはやや空気の透明度が落ちるが今日も展望は良好で、北アルプスの山々は雲も無くすっきりと見えている。南アルプスはやや霞んでいるが東側の日光白根周辺の山々は見えていた。写真は明るくなった帰りに撮影することにしてまずは北峰を目指す。

 稜線北側の登山道には残雪があるが量は少なくてアイゼンは不要。雪の上には多数の足跡あり。土には霜柱が立ち小さな水たまりはカチカチに凍っていたので気温は0℃以下まで下がっているようだが、体感的にはそれほど気温が下がっているようには感じなかった。ただし北寄りの風が吹き付ける場所では風の影響で寒かった。

 南峰と中峰の鞍部の登山道には雪が無いが、稜線南側には豊富な残雪。ここには足跡があり残雪を伝って中峰に登った人がいるようだ。私は北峰を最初に登るので素直に登山道を進む。中峰分岐を通過して北峰へと下っていくが、ここでも雪は少なくてノーアイゼンのままで歩けた。

 北峰は大きく3つのピークで構成されるが最高峰は真ん中のピーク。稜線の東側に残雪が残っているのでこれを利用すればハイマツの藪を回避できるので残雪期は北峰山頂に楽に立てる。

 北峰最南端のピークを巻いてこの付近で最も高度が落ちる地点で稜線と接している箇所で稜線の残雪に乗り移る。何となく足跡が残っているような筋が見られて同じ場所を歩いていたら隠れクレバスに片足が落ちたので、足跡ではなく雪解けで割れかけた筋だったのかもしれない。

 固く締まった雪でアイゼンを付けるか悩んだがキックステップでどうにかクリアして約1年ぶりの爺ヶ岳北峰山頂に到着。中峰、南峰より標高が低く槍穂方面はそれらにブロックされて見えないが、ここも森林限界を越えているのでそれ以外は展望良好。冷池山荘のテント場には既に雪は無く1つだけテント発見。駐車場の車の数の割に少ないなぁと思ったら冷池山荘周辺の雪の上に数張のテントがあった。残雪期はこれがスタンダードなのかもしれない。

 せっかくなので北峰の北端ピークにも立ち寄ることにした。北峰最高峰から見るとほぼ同じ高さに見える。山頂北側鞍部へと下るとトレースがここから北峰山頂へと上がっていた。北端ピークへも稜線東側の残雪帯でハイマツ藪を避けて楽々到着。ここから北峰山頂を見ても同じような高さに見えた。

 鞍部に戻って僅かに下れば登山道に合流し、登山道経由で中峰へ登り返す。稜線東側のみ雪が残るが西斜面や稜線直上に雪は残っていなかった。約半年ぶりの爺ヶ岳中峰山頂は無人で静かだった。南峰の赤いテントはまだ見えている。南尾根を登っている時には東尾根の雪はもう少ないように見えたが、山頂から見下ろすと稜線北側にはまだまだ雪が付いていた。しかし扇沢への車道が通じて以降は東尾根から登る登山者はいないだろう。雪の上に足跡は見えなかった。北西からの風があるので東に少し下って風を避けつつ短時間の休憩。今日はそれほど時間がかからないので飯を持ってこなかったが既に腹が減っていた。

 休憩を終えて南峰に向かう。登山道にはまだ人の姿は見えない。南峰に登り返すとテントの住人は活動を開始しており撤収の真っ最中。スコップを持ってきたようでテントサイトの南と西にスノーブロックが積まれていた。3人組で話を聞いたらこれから扇沢馬蹄形縦走とのこと。ご苦労様。2日前に逆回りで縦走した単独者がいたはずと話をしておく。またメンバーの一人がヤマクボ沢の急雪面の下りを心配していたが、明瞭なトレースがありステップが切れているも同然な状態だったと伝えておいた。それに気温が上がる時間帯なら適度に雪が緩んでブレーキがかかるので安全度はさらに上がるだろう。西に見えている種池山荘はまだ半分程度雪に埋もれていた。写真で確認したら山荘周辺の雪の上に足跡が残っていた。

 3人より早く出発してこちらは南尾根を下る。テントがあった場所は既にもぬけの殻で、爺ヶ岳の稜線で誰とも会っていないので、どうやらメンバーは下山したようだ。下山中に追い越した大ザックの3人組がそうであった。2320m峰でアイゼンを装着して開けた雪面を下っていると本日最初の登山者に遭遇。何と半ズボンのトレランナーであった。正式登山道でないルートでトレランナーを見かけることは稀でありびっくり。アイゼン無しでここを登っていたが、登りはOKでも下りは大丈夫だろうか。日が高くなって雪が緩めば問題ないが、そうでない場合は滑ったらアウトだろう。

 開けた残雪帯を下り始めた直後に尾根が二手に分かれるが、正しいのは右に曲がる尾根。直進の尾根は間違いルートだが、大型連休中は明瞭なトレースができているので間違えることはない。雨が降ってトレースが消えるとヤバいかも。短い藪を突破して最後の開けた残雪帯の短い下りで次の登山者2名に遭遇。こちらはアイゼンにピッケルの通常装備であった。雪が切れたらアイゼンを収納。この後はもうアイゼンの出番は無い。

 樹林帯を下っていくとポツリポツリと登山者とすれ違い、計10人程度だったと思う。大型連休にしては少ないように思えた。少なくとも2日前の駐車場満杯状態とは比較にならないくらい少ないと言えよう。それとももしかしたらあれは登山者の車ではなく扇沢駐車場に入りきれなかった観光客の車だったのかも?

 往路と同じ場所で南尾根を離れて雪を伝って夏道に出る。ここまで下ると雪が緩んでスパッツ無しでは登山靴に雪が入ってしまった。今回は雪が締まった時間帯に歩けたので雪が沈まずスパッツ無しで大丈夫だった。

 夏道では登山者とのすれ違いは無し。登山口に到着すると登山指導所のテントを畳んでいる若者あり。指導所は大型連休のため臨時開設だった様だ。次の開設は夏山シーズン開幕の7月中旬だろうか。登山口前の駐車場には予想外に半分程度の空きあり。今日は本当に入山者が少なかった。

 

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